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呼吸器内科

主な呼吸器疾患

☆一般内科で主に遭遇する呼吸器疾患には、次のようなものがあります。

Ⅰ.かぜ症候群一般的に上気道炎(鼻・咽頭・喉頭)の急性炎症を呈する疾患の総称を「かぜ症候群」と云います。最近ではその症状が上気道だけでなく下気道(気管・気管支・肺)にまで広がっていることが多く、多病因による気道の炎症症状を総称する意味で「かぜ」または「かぜ症候群」という病名が使われています。つまり「かぜ」は独立した病気ではなく鼻から気管支にいたる気道粘膜の感染性あるいは非感染性の急性炎症のいくつかの組み合わせの総称で、厳密にいうと「急性鼻炎」「急性咽頭炎」などの病名となるがほとんど同時にそれらの症状があるので「かぜ症候群」と呼んでいます。

Ⅱ.肺炎:肺のなかは一般的に無菌状態ですが、種々の原因で細菌が進入し肺内に炎症を生じる病気です。咳・黄色痰・高熱等の症状が出現しますが、高齢者では症状があまり出ないこともあります。肺炎は種々の起因微生物(細菌・ウィルス・カビ)の他、アレルギーが関与した好酸球性肺炎などもあります。

Ⅲ.慢性気管支炎:
咳と痰が3ケ月以上続くことが2年間に亘って認められる場合、慢性気管支炎と診断されます。原因としては、気管支拡張症・長期の喫煙・副鼻腔気管支症候群などがあります。

Ⅳ.気管支拡張症気管支が非可逆的な拡張をきたした病態です。気管支が拡張すると、気管支の浄化作用が低下し、痰がたまって細菌などが繁殖しやすく気管支炎や肺炎に罹りやすくなります。また、拡張した気管支には血管が増え、血痰や喀血も出現することがあります。

Ⅴ.肺結核結核菌による肺感染症の一つです。初期症状は咳・痰と微熱です。体重減少や全身倦怠感も認められます。近年高齢者や免疫不全患者を中心として結核新規発症患者が漸次増加しています。

Ⅵ.肺癌肺癌は初期は無症状のことが多く、症状出現時には進行しており手遅れのことが多い病気です。そのため初期検査による早期発見が大切です。血痰や胸痛は肺癌の可能性を強く疑わせる症状の一つであるため血痰や胸痛が認められた場合は、医療機関への受診が必要です。肺癌の予防のためには禁煙が重要です。

Ⅶ.気管支喘息気管支が発作的に狭窄することによって呼吸困難が出現します。アレルギーで起こることも多く、アレルギーに対する治療を必要とすることもあります。

Ⅷ.肺気腫長期の喫煙が原因となる病気で、肺が過膨張となる病気です。自覚としては体動時の息切れや息苦しさを感じてきます。進行すると不可逆性です。禁煙が予防の上で最も大切であり、治療の面でも重要です。

Ⅸ.間質性肺炎(別名、肺線維症):正常な肺は、目の細かいスポンジのような構造をしており、息を吸えば膨らみ、息を吐けば縮むという動きをスムースに行っています。何らかの原因で、この柔らかな肺に線維化が起こり、肺が固く縮んでゆき、ついには呼吸が出来なくなり死に至ることもある病気です。

Ⅹ.睡眠時無呼吸症候群夜、睡眠中に呼吸がとまり、それによって昼間に呼吸困難や眠気・意識障害を来たす病気です。また、心疾患者に生じれば、睡眠中に不整脈や狭心症が生じ、場合によっては突然死の原因になることもあります。一般的には太った人に多く又、イビキを伴う人も多いとされていますが、原因は種々であり専門的な検査が必要です。

ⅩⅠ.胸膜中皮腫胸腔を覆っている胸膜中皮細胞由来の腫瘍です。びまん性で予後の悪い悪性中皮腫と、限局性で予後の良い良性中皮腫に分けられます。悪性中皮腫は塵肺、特に石綿(アスベスト)を長年に亘り吸い込むような職業の人に多いようです。特に40~70才の男性に多いようです。最も頻度の高いのは、胸部痛と呼吸困難で、上腹部や肩に放散します。

☆症状から考えられる主な呼吸器疾患

Ⅰ.咳・痰⇒気管支炎・気管支喘息・肺炎・肺結核・肺気腫・間質性肺炎・肺癌・気管支腫瘍・喉頭腫瘍などの疾患が考えれます。普通の風邪でも認められますが。

Ⅱ.息切れ⇒階段歩行時の息切れは、気管支喘息・肺気腫・間質性肺炎の初期症状の場合があります。呼吸器疾患以外では、貧血や心臓等の異常が考えられます。

Ⅲ.喘鳴⇒喘鳴は気管支喘息で最も典型的な症状です。その他、気管支腫瘍・肺癌・肺気腫や心不全でも出現する場合があります。

☆風邪と間違えやすい病気。。。。


.若者に多い肺炎(マイコプラズマ肺炎)⇒肺炎は、細菌等の病原体が原因となって起こります。肺炎のなかで、細菌とウィルスの中間的な特徴をもつマイコプラズマという微生物が原因で起きる肺炎をマイコプラズマ肺炎といいます。又、一般の細菌による肺炎が高齢者に多いのに対し、マイコプラズマ肺炎は、乳児期から30才代位までの若い人に多いのが特徴です。最初は風邪のような症状ですが,そのうちに高熱(38℃以上)、非常に頑固な咳で、夜、眠れなくなるほどです。

Ⅱ.高齢者の肺炎⇒お年寄りの場合は、肺炎になっても、熱はあまり上がらず、激しい咳や痰も少ないなど、症状が目立たないことが多いため、病気の発見が遅れがちです。高齢者の肺炎の症状は「元気がない、食欲がない、脱水症状、意識障害」などが特徴的です。年をとると、唾液の分泌が減ったり、食べかすが残りやすいなど、口の中の浄化が十分に行えなくなりがちのため、口の中に生息する「肺炎球菌・大腸菌・緑膿菌」や「嫌気性菌」などが増加傾向にあります。お年寄りの場合、これらの細菌が食べ物などに混じり、誤って肺に入り込んで起こる「誤嚥性肺炎」が多くなります。口の中を清潔に保つ、姿勢に気をつける、誤飲しないような調理を工夫するなどで、予防に努めましょう。

気管支喘息

喘息は気管支などの空気の通り道(=気道)が炎症によって狭くなる病気です。喘息は症状がなくても気道は炎症を起こしていて過敏になっているため、そこにタバコや冷たい空気などの刺激が加わると反応が起こり気道が狭くなって息苦しくなったりします(喘息発作)。
炎症を放っておくと気道の粘膜に変化が起こり、気道が狭くなったまま元に戻らなくなってしまい、徐々に悪化していきます。従って喘息は早期に治療を開始することが重要です。

○症状
イ・胸がゼーゼー、ヒューヒューという。
ロ・せき込む(夜間・早朝にでやすい)
ハ・息苦しい(特に夜寝ていて発作的に苦しくなったり、運動したあとに多い)

○喘息悪化の原因

ストレス・疲労・動物の毛・風邪・タバコの煙・クーラー等(冷気)・ハウスダスト・ダニ・大気汚染物質など。

○治療
イ・喘息という病気は一歩間違えば危険になる可能性があります。自分の喘息の状態をきちんと理解し正しい治療をしうまくコントロールできたら、発作への心配が減り健康な人と変わらない生活を送ることができるのです。

ロ.発作を止める」治療法から「発作を出さない」治療法で喘息をコントロール。これまで喘息の治療は、発作が出たときにそれを抑える治療に重点がおかれていました。しかし、喘息の原因の一つである気道の炎症は、慢性的に続いています。最新の喘息治療は、症状がないときでも、炎症の治療を継続する「発作を出さない」治療法へと進んでいます。

長期管理薬(発作のない状態を維持するための薬)
1.気道の炎症を抑える⇒吸入ステロイド薬
普段から発作を出さないためには、継続的に気道の炎症を抑える治療が必要です。発作のない状態を維持するため毎日規則的に長期間使用することが大切で、そのためにも医師と連携して治療に取り組む事が重要です

2.気管支の拡張を長時間促す⇒吸入長時間作用性β2刺激薬

吸入ステロイド薬だけでは十分コントロールできない場合は、これを併用します。この併用療法こそ最新の治療法なのです。

ニ.発作治療薬(吸入短時間作用性β2刺激薬)
1.万一発作がおきてしまったとき、速やかに発作を抑えるために用います


○吸入ステロイド薬と副作用

経口・注射ステロイド薬は全身血管系に働きかけるため様々な副作用に注意が必要ですが、吸入ステロイド薬は気道に直接作用しより少量で効果が得られるため、副作用も少ないと考えられます。起こり得る副作用:声がかれる、喉の痛み、口腔カンジダ症など。防ぐために吸入後は必ずうがいをしましょう。

○日常生活で心掛けることは?
1.禁煙
2.ペットは家の中では飼わない
3.風邪など調子の悪いときは無理をしないように
4.部屋の掃除(ダニ・ホコリ・カビなどの発作の原因を少なくする)
5.疲労・睡眠不足・ストレス・過食過飲酒をさける
6.薬は指示どおりきちんと続ける

咳喘息

○最近、「咳喘息」という病気が急増しています。
ご存知ですか?咳喘息は、喘息とは違ってゼーゼー、ヒューヒューや呼吸困難はなく慢性に咳だけが続く病気で、喘息の前の段階と考えられています。原因はよく解っていませんが、最近、非常に増えている病気で、多くはかぜに続いて起こります。かぜのあとに3~4 週間以上咳が続いたら、この病気を考える必要があり、普通の咳止めは効かず、吸入ステロイド薬がよく効くといった特徴があります。

○咳喘息の特徴
咳の原因として最も多いのは急性のかぜや気管支炎などの呼吸器感染症です。これらは発熱や痰などの症状を伴って出現し、病気がよくなるにつれしだいに消えていきますが、咳喘息は発熱や痰などの症状を伴わずに数週間以上も咳が続き下記のような特徴があります。

①ほかに原因となる病気がないのにいつまでも咳だけが続く。数ケ月~ひどい場合は1年以上続くことがある。
②かぜのあとに続いて起こることが多い。
③ゼーゼー、ヒューヒューや呼吸困難はない。
④ほとんど痰は出ない。
⑤咳は夜間から明け方に多い。
⑥冷たい空気、タバコの煙、会話、電話、運動などで咳こみやすい。
⑦かぜ薬や咳止めが効かない。
⑧気管支拡張薬が有効
その他、胸部レントゲン検査で異常がない、アレルギー素因のある人に多い、女性に多い(男:女=1:2)再発をくり返すこともある。

○治療
①気管支拡張薬、吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬が有効ですが、確実な効果があるのは吸入ステロイド薬です。
②よくなってすぐやめてしまうと再発するので、数ケ月間は続けることが大切です。
③咳喘息はそのまま自然に改善することもありますが、約30%が喘息に移行し、再発をくり返すこともあります。
④診察や検査では異常がみつからないため、診断は非常に難しく、症状から咳喘息を疑い、治療でよくなれば咳喘息と診断する場合がほとんどです。

3週間以上続く咳があれば、アレルギー科や呼吸器科で相談されることをお勧めします。

肺塞栓症

Ⅰ.生活や食事の欧米化で、近年、肺塞栓症が増えています。

Ⅱ.血液は肺できれいにされて、全身をめぐり、大静脈、心臓を経て肺に戻ります。そのとき、大静脈(主に下半身)で血液の流れが悪くなって血のかたまり(血栓)ができ、それが肺に達すると「肺塞栓症」を引き起こします。肺動脈に詰まり、呼吸困難や胸痛、咳や血痰を引き起こし、重症の場合は命にかかわることもある病気です。旅行者血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)もそのひとつです。

Ⅲ.主な原因として、体を長時間動かさないことがあげられており、また、手術後に発症が多いことも指摘されています。

Ⅳ.肺塞栓症になりやすい人は:高齢者・肥満の人・妊産婦・ピル内服・血液が固まり易くなっている人・心疾患や悪性腫瘍や脳卒中などの既往歴がある人・喫煙者・骨折をした人など。

Ⅴ.長距離旅行の際の予防法としては、弾性ストッキングをはいたり、足首の関節を動かして、足の血流をよくすることが勧められます。水分もまめにとってください。

気になる症状があったら、早めにかかりつけ医に相談しましょう!

風邪とインフルエンザ

1.風邪の原因となる外敵の9割がウィルス、細菌による風邪はあまり多くありません。人間を地球の大きさに例えると、細菌は小型バスやヘリコプター、ウィルスはネズミの大きさです。

2.風邪様症状の原因となる主なウィルス
インフルエンザウィルス: インフルエンザを引き起こす。高熱が出て全身に関節痛や倦怠感等の症状が出る。
ライノウィルス: 冬に流行する、いわゆる鼻かぜの代表格。鼻水や喉の痛み等の症状を引き起こす。
アデノウィルス: 冬から初夏にかけて流行。重症の扁桃炎や肺炎、結膜炎や嘔吐下痢症等を引き起こす事も。
エンテロウィルス: いわゆる夏かぜの代表格。喉の痛みや高熱・咳等の症状が出る。
コロナウィルス: 一般には鼻かぜを引き起こすが、一昨年の冬に感染力の強い新種が現われSARSの病原となった。

3.風邪をひくって、、、、
鼻や喉・気管支等の「呼吸器粘膜」に様々な外敵が侵略してきて、体の免疫がその外敵と戦っている状態です。外敵は体 の細胞を壊します。一方の免疫も「非常事態」と外敵にとりつかれた細胞を壊したり、体を戦闘状態へ変えたりします。風邪症状の原因は、侵略者とそれに伴う戦闘なので、敵を撃退してしまえば、いずれ治まります。どの程度重症になるかは、敵と免疫との力関係次第なのです。

4.インフルエンザの正体とは?
ウィルスのなかでも非常に悪名高く恐れられているのがインフルエンザ。タミフルという特効薬がありますが、効果が高いのは引き始めだけ。周囲で流行している時に高熱や全身症状が出たら、直ちに受診して投薬を受けるのは一つの見識です。ウィルスが細菌と異なるのは、単独では増殖できず、何かの細胞に寄生して増えるということ。つまり、一般に人や動物の集ま  る場所にウィルスの密度が高く、それだけに接触の危険があります。外出から帰った時にうがいと手洗いを励行するように云われるのは、これが理由です。

5.普通の風邪は医療では治せません。
現在の医療技術では、初期のインフルエンザ等を除き、ほとんどの風邪ウィルスは撃退できません。我々が投薬時に注射・点滴をするのは症状を軽くするだけの対象療法にすぎません。医療に頼らなくても、よほどタチの悪いものが相手でない限りあなたの免疫が風邪ウィルスごときに負けるなんてことはありません。ゆっくり養生、それが最強の治療法です。
①水分だけは意識して補充を(水でもジュースでも牛乳でも飲み易いものでOK)。
②乾燥を避けて暖かく、とれたら栄養も。(これでウィルスの嫌がる環境が体の内外に作れます)。
③無理は禁物。とにかく眠る。(寝汗で体を冷やさないよう着替えはこまめに)。

6.こうなったらすぐに病院へ!

①38℃以上の高熱が続く。
②水分をとれない。
③他の病気にかかって弱っている。
④高齢者、幼児は別扱い。
⑤一度も経験したことがない苦痛がある。

7.抗生物質、風邪にはデメリットだらけです。

とにかく抗生物質を貰うと安心と思っていませんか?抗生物質が主に効くのは細菌で、風邪の9割を占めるウィルスには効きません。勿論、疾患の原因が細菌であると確定していたり、細菌による二次感染を起こした場合には抗生物質が有効ですす。これほど強く警告するのは、抗生物質を使えば使うほど、抗生物質の効かない耐性菌が出来てしまうからです。「気休め」の抗生物質、絶対ダメです。

8.風邪(ウィルス性)とインフルエンザ・細菌感染の風邪の違い
  風邪(ウイルス性) インフルエンザ・細菌感染
発熱: 38℃以下 39℃以上
鼻汁: 透明感 黄色・緑色(混濁)
喉痛: 軽い 激痛・腫れ
咳: 軽い 激しい
全身症状 軽い 著明
(頭痛・関節痛・倦怠感・食欲不振)

インフルエンザ

Ⅰ.インフェルエンザとは?

①インフルエンザ普通のかぜ症状となる原因ウィルスと異なり、インフルエンザウィルスによって引き起こされ、高熱がでるだけでなく、場合によっては重症化・合併症をも引き起こす恐れのある感染症です。

②インフルエンザウィルスはA型・B型・C型の3つに大きく分類され、A型にはAソ連型やA香港型等いくつかのタイプがあります。現在はAソ連型、A香港型もしくはB型が毎年冬季(12~3月頃)に流行を引き起こします。これは、温度が低く乾燥した冬には、空気中に漂っているウィルスが長生きできるからです。また、乾燥した冷たい空気で私たちの喉や鼻の粘膜が弱っています。年末年始の人の移動でウィルスが全国的に広がるのも一つの原因と云われており、これらの原因が重なって流行しやすい時期となっています。また、最近は新型ウィルスの大流行も心配されており、新型ウィルスの出現を監視する地球的なネットワークが構築されています。

③新型、鳥、SARS とは?
1.新型インフルエンザ:ウィルスの変異によって出現!
インフルエンザのうち、A型のウィルスはヒトだけでなく、鳥やブタ、馬、鯨など他の動物にも感染します。通常はヒトからヒトへというように同種の間で感染し、ヒトが他の動物のインフルエンザにかかることはほとんどありません。しかし、インフルエンザウィルスの遺伝子情報が子のウィルスにコピーされる時に、遺伝子情報が変更され性質が変わる(変異する)ことがあります。変異によって、これまでヒトに感染しなかったインフルエンザウィルスがヒトへ感染するようになり、さらに、ヒトからヒトへ感染するウィルスが現われる場合があります。このようにして、ヒトからヒトへ感染する新しいインフルエンザが出現した場合を、「新型インフルエンザ」といいます。

2.鳥インフルエンザとの関係
鳥インフルエンザは、自然界で鳥が感染するインフルエンザです。通常はヒトに感染することはありませんが、近年、東南アジアを中心にヒトが感染する例が報告されています。最初は1997年香港で18名がA型のH5N1に感染した鶏より感染し、内6名が死亡しています。このA型H5N1の運び屋として水鳥や渡り鳥(カモなど)が確認されています。特にこのウィルスは鶏が大量死することが、注目されています。ヒトからヒトへの感染はまだ確認されていないので、新型インフルエンザとはいえませんが、鳥インフルエンザが新型インフルエンザになる可能性はあります。

3.予防と治療
予防法は、帰宅後うがいや手洗いをする、マスクをつける、人ごみを避けるなど、通常のインフルエンザと同じです。
しかし、この場合ヒトは全く抗体を持っていませんのでワクチンを接種する必要があります。現在のワクチンは新型インフルエンザには効きませんが、新型インフルエンザに効くワクチンを早期に実用化するために、世界中で研究が行われています。新型インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬が有効であると考えられています。このため、国や一部の自治体では、新型ウィルスの出現に備えて、抗インフルエンザ薬の備蓄を行っています。

4.インフルエンザとSARS
インフルエンザはインフルエンザウィルス、SARSはSARSコロナウィルスによる感染症です。最初の症状は、突然の高熱、筋肉痛、全身のだるさなど非常によく似ているため、症状だけでは区別は難しいといわれています。インフルエンザは普通1週間ほどで治りますが、SARSは発熱が続き、熱が出始めてから 5日から1週目頃から咳や呼吸困難などの呼吸器症状が強くなり、約1割から2割の人では人工呼吸器が必要なほど重症化するといわれています。しかし、インフルエンザにかかった人でも肺炎を起こす人はいます。インフルエンザとSARSを見分けるためには、医 療機関において色々な検査を行いその結果などから総合的に判断することになります。

Ⅱ.どのように感染するの?
①通常のかぜのウィルスは特に手から手による接触感染の頻度が高いと云われています。それに対して、インフルエンザウィルスは患者の咳やくしゃみ、痰などで空気中に拡散されたウィルスを吸い込むことにより感染する「飛沫感染」が中心です。

②インフルエンザウィルスの増殖は気道の表面だけで起こり、全身症状(高熱や関節痛など)はインフルエンザウィルス感染による炎症でこのウィルスを排除するための人の免疫反応によるものと考えられています。

Ⅲ.インフルエンザと風邪の違い
①症状の違い:インフルエンザと風邪とは、原因となるウィルスの種類が異なり、通常の「風邪」は喉や鼻に症状が現われるのに対し、インフルエンザは急に 38~40度の高熱がでるのが特徴です。さらに、倦怠感・筋肉痛・関節痛などの全身症状も強く、これらの激しい症状は通常5日間ほど続きます。また、気管支炎や肺炎を併発しやすく、重症化すると脳炎や心不全を起こすこともあり、体力のない高齢者や乳幼児などは命にかかわることもあります。

②大流行の恐れ:インフルエンザは特然、強烈な流行が発生することが特徴です。「スペインかぜ」「香港かぜ」など世界的に大流行し多くの死者を出したインフルエンザもあります。健康な人もインフルエンザにかかると本人が苦しい思いをするだけでなく、ウィルスをまき散らして周囲の人に感染する原因にもなります。

Ⅳ.特に注意が必要な人は?
①日本におけるインフルエンザの流行・拡大は、小学校で始まると考えられています。小学生は罹患率が高く、それが家庭で成人や高齢者に感染していきます。高齢者は罹患率は低いのですが、逆に死亡率は高く、インフルエンザは高齢者にとって「老人の最期の生命のともしびを消す疾患」とも云われています。

②ハイリスクの方:一般的に体の免疫力(ウィルスに対する抵抗力)が落ちている方が該当します。具体的には、65才以上の高齢者の方、持病を持っている方(慢性呼吸器疾患・慢性循環器疾患・糖尿病・腎不全・免疫不全などの方)、妊娠中の方、乳幼児などです。これらの方は、インフルエンザに感染するとインフルエンザ自体が重症化したり、肺炎などの合併症を併発する場合があります。

③ハイリスクの方と頻繁に会う方:ハイリスクの方に感染させない様にインフルエンザの感染に対する注意が必要です。

④その他:冬季に重要なお仕事やイベントのある方。例えば、受験生・重要な仕事をお持ちの方・冬季に休むことの出来ない重要なイベントがある方なども、インフルエンザには十分注意して下さい。

Ⅴ.インフルエンザを防ぐには?
予防接種を受ける・栄養と休養を十分にとる・人ごみを避ける・適度な温度、湿度を保つ・マスクを着用する・手洗いとうがいをする、と云ったことをお勧めします。
ワクチン接種は早めに!:13才以上では過去にインフルエンザに感染して免疫が少しずつできてくると考えられるため、接種回数は1回でもよいとされています。13才未満の場合は2回が原則で、接種の間隔は1~4週とされていますが、後半の方が、より高い免疫ができます。ワクチンの接種を受けてから体内の免疫ができてくるには2~4週かかるので、インフルエンザの流行の前に(少なくとも年内に)接種をすませておいたほうがよいでしょう。

Ⅵ.発症したら48時間以内に診断を。
①インフルエンザの症状がでたら、早めに医師の診断を受けるようにしましょう。発症から48時間以内であれば、インフルエンザウィルスの増殖を抑える薬が処方されるようになりました。早ければ早いほど効果的です。また、最近インフルエンザにかかっているかどうかを簡単に調べられる検査キットがあります。風邪もしくはインフルエンザにかかったと思ったら、早めに受診することで、確実にいずれかの診断が得られます。

②早期診断、早期治療の効果は大きい!
普通健康な成人は、軽症のうちに会社や学校を休むわけにはいかないという気持ちと重なって、高熱で苦しくなるまで病院に行かないという考えが一般的です。ウィルスが喉や鼻の粘膜に広がり高熱が出てしまうと、根本的な治療は間に合わなくなり、かえって長期間、寝込むことになってしまうおそれがあります。

③安静にして、休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。水分を十分に補給しましょう。お茶・ジュース・スープなど飲みたいものをとりましょう。

Ⅶ.インフルエンザが引き起こす合併症
①インフルエンザ脳症:最近、日本では小児のインフルエンザ脳症が深刻な問題になっています。流行によって異なりますが 、幼児を中心として、毎年約 100~500人の発症、その10~30%が死亡、そしてほぼ同数の後遺症患者が出ていると推測されています。原因は不明ですが、インフルエンザウィルスの感染が発症の引き金となり、突然の高熱に始まって、1~2日以内に昏睡などのさまざまな程度の意識障害を起こし、短期間の内に全身状態が悪化し、死に至ることがあります。

②最も多い合併症としては、細菌の二次感染による肺炎、気管支炎があります。また、乳幼児では中耳炎や熱性けいれんを起こす場合があります。その他の合併症としては、ウィルスそのものによる肺炎や気管支炎、まれに心筋炎などがあります。

インフルエンザに漢方薬 麻黄湯

インフルエンザに漢方薬「麻黄湯」が注目!
1.抗インフルエンザウィルス剤(タミフル)服用で、学童の異常行動副作用が大きな社会問題となり、ついには厚労省より10歳代の服用禁止が決定した所です。

2.実は一連の報告・警告は医療機関には数年前より忠告を促されており、当院ではその当時よりタミフルはどうしてもという家族の希望のある方以外は全例漢方薬「麻黄湯」を使用してきており、タミフルにも勝るとも劣らぬ極めて良い効果をたくさん経験しております。

3・漢方薬「麻黄湯」は、感冒(初期で、体力が十分あり、悪寒、発熱、頭痛、関節痛のあるとき)、インフルエンザ初期、に適応があります。

4・但し、次のような方は服用にあたり注意もしくは不向きです。体が著しく弱っている人、発汗の多い人、胃腸虚弱、循環器系の病気又は既往歴のある人(高血圧・心臓病・脳卒中)、腎臓病、排尿障害、甲状腺機能亢進症のある人など。

5・タミフル以外にも、リレンザ(吸入投与)、アマンタジンなどがありますが、漢方薬「麻黄湯」は最近注目を浴びており、更に使用される傾向にあると思われます。

やっかいな咳

やっかいな咳
3週間以上続く咳にはこんな原因が考えられる!
Ⅰ. 最近「咳がなかなか止まりません」と言って来院される患者さんが増えています。風邪をひき諸症状があるも、治療し回復したのだが、咳だけがとれないといった患者さんもいる。 
. こういった咳を主訴として来院された場合、先行した上気道感染の有無、痰の性状(色・粘調性)、喘鳴(ヒューヒュー・ゼイゼイ)の有無、副鼻腔症状の有無、喫煙歴等を伺い、必要ならば胸部X線写真を撮る。
. 胸部X線写真で異常所見が見つかれば、肺癌・肺結核・間質性肺炎等の疾患を疑い精査に進む。 
. 胸部X線写真で異常所見がない場合には次のような疾患が疑われる。 
  1.感染後咳そう(いわゆる風邪が治りきっていない)
2.副鼻腔気管支症候群(副鼻腔症状あり・黄~緑色の痰) 
3.服用薬による咳(ある種の降圧薬) 
4.逆流性食道炎
5.不整脈 
6.気管支喘息 
7.慢性閉塞性肺疾患(労作時の息切れ・痰・喫煙歴あり) 
8.アレルギー性咳そう(長引く咳の6割がこれ) 
   イ.咳喘息 
   ロ.アトピー咳そう(咳喘息と異なる点は、アトピー素因がある人が多い・放置していても喘息には移行しない)
このように、咳の裏に潜んでいる疾患は実に多様です。鎮咳薬を服用しても2週間以上咳が続いているような時は上記の疾病も念頭に入れておきましょう。 
   
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