アレルギー性疾患(蕁麻疹・湿疹・花粉症他)
◎人は侵入しようとするウィルスや細菌など(抗原:アレルゲン)を殺すために撃退する物質(抗体)を体内につくって、自らを守るシステムをもっています。この防御機構を「免疫」といいます。体を守ってくれるこのシステムが、体にとって不都合な結果を引き起こしてしまうのが「アレルギー」なんです。
◎通常、人は魚を食べてもなんともないが、なかには魚を食べると下痢や蕁麻疹などのアレルギー症状を起こす人がいます。このようにアレルギーが起こるのはある限られた体質の人に多く、これをアレルギー体質といいます。アレルギー体質の人は、もともとアレルギー疾患にかかり易い。
◎アレルギーによって起こる病気には次のようなものがあります。
1.花粉症 2.アレルギー性鼻炎 3.アレルギー性結膜炎 4.アトピー性皮膚炎 5.気管支喘息6.アレルギー性胃腸炎 7.蕁麻疹・湿疹 8.薬物アレルギー
◎アレルギーの原因となる物質は様々ですが、主に空気中を浮遊する物質や食物で蛋白質からなるものです。
1.吸入性抗原(花粉・ハウスダスト・ダニ・カビ・ペットの毛・昆虫・そば粉など)
2.食餌性抗原(卵・牛乳・さば・そばなど)
3.薬剤抗原(ペニシリンなど)
4.細菌抗原(ウィルスなど)
5.接触性抗原(うるしかぶれなど)
◎アレルギー症状を悪化させる要因としては、タバコの煙・車の排気ガス等の化学的刺激。風邪などの細菌感染・ストレスや不安等があげられます。アレルギー性疾患はアレルゲン等による体質的な要素と、環境的な要素が複雑にからみあっているのです。
◎食物アレルギーは乳児期、花粉症は20~30才代に。
乳児期には食物が抗原となる食餌アレルギーやアトピー性皮膚炎が多く、1~3才では上気道炎(中耳炎・副鼻腔炎)を引き起こしアレルギー性鼻炎に移行するケースもみられます。ダニやハウスダストによるアレルギー性鼻炎は3~4才で発症し5~10才頃がピークとなります。花粉症は20~30才代が発症のピークと云われています。
◎対策
1.アレルギーの原因であるアレルゲン(抗原)が特定できたら、身の回りから除去し、できるだけ接触しないような環境作りが大切。
2.また、発症や症状のあらわれ方には、生活習慣や精神的・肉体的ストレスとの係わりも大きく影響しますので、十分な睡眠・栄養のバランスのとれた食事を心掛け、ストレスを上手にコントロールすることも重要です。
◎日常、内科でよく遭遇する皮膚疾患
蕁麻疹やアトピー性皮膚炎等アレルギー性疾患の他に、次のようなものがあります。
1.尋常性ざそう(通称にきび、多く思春期に発症)
2.脱毛症(円形脱毛症、男性型脱毛症AGA)
3.白癬(皮膚真菌症で最多が足白癬)
4.老人性皮膚そうよう症(冬が近づくと皮膚がカサカサに乾燥して痒みを訴える)
5.帯状疱疹(神経節に潜伏感染している水痘・帯状疱疹ウィールスの再活性化により生じるウィールス感染症であり、神経痛様の痛みを伴うのが特徴である。
Ⅰ.蕁麻疹は、膨疹ともいわれるように、何らかの原因により一過性の浮腫が引き起こされます。多くは痒みを伴い、毎日あるいはほぼ毎日症状の出没を繰り返します。膨疹の色は紅色から白色で、浮腫が強いほど血管は圧迫され、白くなる傾向にあります。通常の蕁麻疹であれば個々の皮疹は24時間以内に消失します。
Ⅱ.蕁麻疹かどうかは、ほとんど問診と視診で診断が可能ですが、特に個々の皮疹の経過が重要で個々の皮疹が突然出現し24時間以内に消退する場合はほとんどが蕁麻疹です。ポイントは、蕁麻疹は数十分から数時間以内に出没を繰り返すことです。迷った時には、皮疹をボールペンでなぞり、3時間後に同じ位置になれば蕁麻疹と判断します。診断が難しいのは24時間経っても消えない皮疹で、その中には蕁麻疹様血管炎等の治りにくい疾患が含まれていることがあります。
Ⅲ.蕁麻疹には、
1.通常の診療で直接的に原因ないし誘引を明らかにできない特発性蕁麻疹、
2.特定の刺激ないし負荷により誘発される蕁麻疹(アレルギー・寒冷・温熱・日光・接触物などによる)、
3.特殊な蕁麻疹又は蕁麻疹類似疾患(血管性浮腫・蕁麻疹様血管炎他)、
の3病型があります。臨床上、最も多いのは特発性蕁麻疹であり7~8割がこのタイプです。また、発症してからの期間が1カ月以内のものを急性、1カ月以上経過して持続しているものを慢性蕁麻疹といいます。
Ⅵ.治療の基本は、原因・悪化因子の除去、回避と、薬物療法(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬)です。しかし、原因を明らかにできない症例が多い上に、難治性のものや、汗、食物、日光を原因や誘引とするものなど対応に苦慮する症例も少なくありません。
Ⅰ.スギ花粉症
①今の寒さが底をついたら、そろそろ花粉の飛散が始まります。昨年同様に7月の日照時間は平年を大きく下回り気温も若干低く降水量はやや多めでしたが、8月の猛暑を考慮して予測飛散量は10年平均とほぼ同等の飛散と思われ、昨年春と比較すると東日本では1.5倍~3倍とかなり多い飛散量が予測されています。飛散開始は例年に比し5~10日ほど早くなる(2月上旬)と予測されています。その後2月の気温も高めに推移すると予想されることから、飛散開始後、すみやかにピークの時期をむかえると考えられます。又、昨年に比較して飛散量が多いことから飛散期間も昨年より長くなると予想されます。(昨年、関東地方では4月末頃にスギ花粉飛散は終息)。
② 花粉症は症状が一時的におさまっても治療を続けることが大切です。花粉飛散期は常に鼻粘膜が炎症を起こしているため過敏になっています。スギ花粉シーズンに炎症を抑えることで、スギ花粉症は勿論、続くヒノキ花粉症の症状を抑えることができます。
③症状がおさまっても治療を続けることが花粉症治療のポイントです。
Ⅱ.花粉症は花粉が原因
花粉症は、草や木の花粉が原因(抗原)となって起こるアレルギー性の病気です。花粉(抗原)が体内に入ってきた時に抗体が反応し、花粉(抗原)を取り除こうとして、くしゃみや鼻みずがでます。花粉症の三大症状はくしゃみ、鼻みず(水様透明)、鼻ずまりです。くしゃみは、何回も続けて出るのが特徴です。その他の症状として、のどの痒みや痛み、目の症状を伴うことが多く、かゆみ、なみだ目、充血、頭痛などが見られます。
Ⅲ.にっくき花粉症の正体
スギ花粉症の増加としては、原因(抗原)となるスギ花粉の量が増えていること、自動車の排気ガスに含まれる粒子が抗体を産生しやすくすること、又、生活のリズムが不規則になりがちであったり、ストレスが多くなっていること、などが考えられます。現在では国民10人に1人がスギ花粉症といわれています。2月から4月にスギ花粉、続いてヒノキ花粉が5月中旬頃まで飛散します。6月から8月はイネ科植物花粉(ハルガヤ、カモガヤ、オオアワガエリ)、8月から10 月はヨモギ、ブタクサなどが代表格です。同じ環境で暮らしていても花粉症になる人とならない人がいます。これは生まれつき体内に侵入してきた異物に対して抗体ができやすい人とそうでない人とがいると考えられています。抗体ができやすい人が、抗体をつくりやすくなるような環境、つまり花粉がたくさん飛ぶような環境にさらされると花粉症になります。又、花粉症は、抗体ができやすい体質が遺伝し発症する病気なので、家族に花粉症の人がいる場合には、花粉症になる確率が高いといえます。
Ⅳ.花粉をよせつけない対策
花粉症対策の第一は、原因となる花粉を避けることです。花粉シーズンには、なるべく外出を避けることです。特に風の強い日には、外に出ないようにしましょう。又、買い物などはなるべく午前中にすませ、外出時にはメガネやマスクなどで花粉をよせつけないようにしましょう。花粉の多い日には、窓を閉め切り、開けるときは風下の窓を開けます。このような日には、布団や洗濯物を干すのはやめましょう。大量の花粉を家の中に持ち込むこととなります。花粉の全くない部屋を一つ作っておくことは、症状の改善に強い味方になります。この部屋に入るときは花粉のついていない服に着替えます。スギ花粉は、湿気を含むと重くなってすぐ落下するので、部屋の中は加湿し乾燥しないようにします。床の掃除には、電気掃除機を使わずぬれたぞうきんでふき取り、花粉を撒き散らさないようにしましょう。
Ⅴ.薬物療法
花粉症の治療薬には抗アレルギー薬、ステロイド薬、漢方薬などがあります。薬物療法のポイントは、「花粉が飛ぶ前から抗アレルギー薬を予防的に使うとよい」ということです。それにより最盛期の症状が緩和されます。花粉の飛散が始まってから本格飛散までは約1ケ月あります。スギ花粉が飛散しはじめは2月初旬頃の 1~2週間ほど前から薬を使い始めて下さい。そしてスギ花粉の飛散が終わる4月下旬頃まで、1~2ケ月ほど使い続けて下さい。ヒノキ花粉症もある人はさらに1ケ月続けて下さい。軽い症状がでた初期またはそれより前より予防的治療を開始する理由は、「薬の多くが十分な効果がでるまでに、1~2週間かかるため」また「花粉の刺激を受け続けると鼻粘膜がどんどん過敏になるため」といわれています。
Ⅵ.注意点!
①セレスタミンは抗ヒスタミン薬とステロイド薬の合剤です。鋭い切れ味を示します。長期服用は副作用上勧められません。連続服用する場合は2ー3錠/日なら3~5日、1錠/日でも2週間を限度とします。
②「1回の注射でスギ花粉症のシーズンが楽に送れる」という報道により、長期作用型のステロイド注射を希望する患者さんがいます。この方法を乱用して患者を集めている医師がいることが、医師のモラルとして問題視されています。ステロイド薬は強力な抗炎症作用をもつ一方、長期に効果のある全身投与(内服薬・筋肉注射)は、必ず副作用を起こします。ガイドラインにもこの方法は望ましくないと明記されています。ステロイド点鼻液・ステロイド点眼液などは、局所作用のため問題はありません。